[What’s UP!?] B.D. interview

最高な一時から真っ逆さまに落とされたあの日のことは今もはっきりと覚えている。フラッシュをたかないとファインダーを覗いてもほとんど見えないぐらい照明が落とされた、2.11 IKB BEDのステージでB.D.からNippsへとマイクを繋ぐ、まさにその夜のハイライトになるはずだったその時、あの事件は起こった。ミラーボールとタバコの煙が生み出す妖しげな雰囲気がスパイスになったこの日の「ILLSON」リリースライブは、ただでさえ抜群のパフォーマンスを見せるB.D.のライブにあっても特に素晴らしいものであったと記憶している。それが一転、乱暴になだれ込んできたヤツらの手ですべてがかき消されたのだ…。事の詳細については今さら説明はしないが、不特定多数の人間に対し、所持検査と尿検査を半ば強制的に行うという、完全な違法行為を権力を使い捻じ曲げるという横暴以外の何者でもなかったことは、流れてきたTWEETでもご存知のはずだ。
それから4ヶ月余り経った、来る6月3日(日)リベンジとなるリリースライブが再び行われる。あの日の一件に関して公にはほとんど語ることをしなかった男がどんな言霊を吐き出すのだろうか?今から楽しみでならない。
今回のインタビューでは、TOKYO HIP-HOPシーンの中枢に若き頃からどっぷりと浸りひたすらに牙を研ぎ、曲とライブで自らを証明し続けてきたB.Dが、これまでほとんど語ってこなかったラッパーB.Dを形作った歴史について中心に話してもらった。そしてこのインタビューが、あの日のアンサーを自身の目と耳で直接確認するための行動に移す動機になってくれれば本望だ。
T.R.E.A.M.:そもそもB.D.君っていつからラップ始めたんですか?
B.D.:本当に真面目にやり始めたっていうか、ちゃんと自分でやれてるなって思えたのは最近ですけど。
T.R.E.A.M.:最近って(笑)。
B.D.:本当に。衝動的にやりたいなって思ってマイク握ったのは16とか17の時っすね。
T.R.E.A.M.:Hassy The Wantedさんのレコード屋にいた時ですか?
B.D.:いや、レコード屋はもう20になってた頃なんで。
T.R.E.A.M.:じゃあ全然前っすね。
B.D.:六本木で高校生がいっぱいパーティーとかやってる時代っすね。そういう流れでクラブに進出していって。で、初めてちゃんと出たイベントがゼウスってとこでやってたハッシーさん(Hassy The Wanted)とか池袋の人たちがやってるイベントだったんすよ。そこでやってたのがダボ(DABO)君とケイ(K-BOMB)君で。
T.R.E.A.M.:アオミドロすか!
B.D.:そこのフリースタイル道場で俺はやられて。そっからすね。最初にやっぱこれをくらったのはでかかったですね、そこがなかったら俺もたぶん途中で挫折してたことも多かったと思うんで。その辺からその人たちのイベントに出入りするようになって。俺の周りで音楽やってる人は基本、池袋の先輩たちが多くてゼウスでイベントをよくやってたんで、そこに入り浸って。
T.R.E.A.M.:じゃあ周りはみんな年上みたいな状況ですよね。
B.D.:そうっすね。それで面白がられてたっすよね、からかわれてたっていうか。
T.R.E.A.M.:その頃にはもうTHE BROBUSのメンツとは出会ってたんすか?
B.D.:まだっすね。最初は俺1人でやってて、それでDWEETが高円寺とかでイベントをやってて。それで仲良くなって一緒にナイトレインってグループやったんすよ。そこからハッシーさんとかと繋がってTHE BROBUSが出来た感じっすね。ちょうどその頃Bazooとも出会って。
T.R.E.A.M.:一番最初ってソロだったんすね。ちなみにその頃ってなんて名前でやってたんですか?
B.D.:なんて名前だったっけな。結構いろんな名前があったっすよ…。ルーチー・Aとか。
T.R.E.A.M.:なんですかその名前(笑)。
B.D.:どこから出てきたのかもわかんない(笑)。
T.R.E.A.M.:その時ってすでに録音したりしてたんですか?
B.D.:家でテープに録音ぐらいの感じっすね。あと、竹の塚の連中と塚マスターズっていうのも結成して。高校生ぐらいの、すげぇ恥ずかしい時代すね。
T.R.E.A.M.:その頃ってあのDJブームだった時ですよね。
B.D.:そうそう、ストニューとか。それでいろんな高校のヤツらが集まってパーティー開いたりして、他の高校のヤツとも仲良くなったりとかして。その頃ちょうどクラブでやり始めた世代って今やってる人たちも多いっすね。ダース(DARTHREIDER)も漢君とかもそうだし。みんなあの辺は世代が近いんで知ってるっすよね、そういう時代を。
T.R.E.A.M.:ニトロとか宇田川町に元々いた人たちが、年齢を重ねたのもあると思うんすけどそれぞれの方向に行って、元々スタンダードだった言葉のゴロで遊ぶスタイルのラッパーが今減ってきた状況で、今作でもB.D.君は貫き通してるなって。
B.D:それを消化した上でよりメッセージのあるラインだったりとか、言葉遊びしてるんだけどそこに意味を持たせて考えさせるようなものが好きなんすよね。聴き手側によって捉え方が変わるっていうか。答えをこうだよっていうのじゃなくて、道筋は立てるけど最後の選択はお前だよっていう方が俺は好きなんすよ。
T.R.E.A.M.:あとは知ってる人にしかわからない言葉も随所に散りばめてあって。
B.D.:隠語の世界もそうだし。俺らのスラングじゃないですか。それをあからさまに直球で言っちゃうのはダサイなって。
T.R.E.A.M.:今作の製作の中でテトラド(TETRAD THE GANG OF FOUR)とソロの違いってありましたか?
B.D.:1MCと4MCの違いは凄いでかいっすけど、相談する相手がテトラドのメンツだったりデミさんだったりするんで根本的な部分は一緒っすね。デミさんはスピリチャルアドバイザーなんで。
T.R.E.A.M.:今回、話を聞くのにあたって前作『THE GENESIS』と聴き比べて思ったんですけど、今作『ILLSON』はだいぶフロウに力が抜けてるんだなって。
B.D.:THE BROBUSが終わって自分の1stを作った時って、精神的にも自分が置かれている状況的も今と比べたら凄い差があるぐらいどん底だったから。力が入ってるの自分で聴いてて凄いわかるし。良くも悪くも、あの時は気持ちの面が前に出てたっすね、リリックにもラップにも。
T.R.E.A.M.:B.D.君の曲って外で聴くと特にハマるというか、街の景色が見えてくるような印象があるんすけど、作業的にはトラックを集めて、それをiPodに入れてひたすら聴くって感じなんですか?
B.D.:そうっすね。iPodもそうですけど、俺は未だにCDウォークマンでいろんなデモを聴いて、自分で並べてみたりして。そういうところから始めてるっすね。テトラドなんかは先にトラックで骨組みを決めるっすけど、今回のはじょじょに出来てきて最後の方で並べて加えていった感じっすね。
T.R.E.A.M.:なるほど。テトラドは全曲KEN SPORTさんトラックですもんね。
B.D.:そういう意味での違いも大きいっすね、今回はプロデューサーをいっぱい入れてるんで。いっぱいって言っても身内が多いっすけど。
T.R.E.A.M.:今までB.D.君が繋がって来て、そして今も続けている人に声をかけてるなって。
B.D.:あんまり無理したくないし、今はバジェットのこととかもあるし、そういう意味でも身内のトラックメイカーをフックアップできていかないと、これからキツいんじゃないかなって。もちろん外に頼む仕事もいいと思うんすけど。
T.R.E.A.M.:PVも公開された“K2”は、K-BOMBプロデューストラックということで一体どんなのが来るんだろうと思ってたんすけど、意外にど真ん中なHIP-HOPトラックで。
B.D./K2(prod. by K-BOMB)
B.D.:事務所までデミさん(Nipps)と一緒に行っていろんなデモを聴かせてもらったんすけど、俺に聴かせてくれたのはああいう感じが多かったっすね。最初はDEMI GODSのトラックを選びにいってたんすけど、あのトラックに当たった時に俺のソロでやりたいなって思って。で、話をしたらデミさんもやったほうがいいよって言ってくれたんで。
T.R.E.A.M.:音はMPCから?
B.D.:高円寺のあそこで1000から。
T.R.E.A.M.:曲のストック相当ありそうっすもんねぇ。
B.D.:結構聴かせてもらったっすよ、送ってもらっりもして。
T.R.E.A.M.:今後、DEMI GODSでまとまった音源を作ろうって話はあるんですか?
B.D.:考えてるっすよ。
T.R.E.A.M.:おぉ、楽しみです。今回のアルバムを全体的に見ると、客演とかトラックメイカーのバランスとか曲数のタイトさとか、どこか『ILLMATIC』に通ずるものがあるなって感じました。
B.D.:うれしいっすね。
T.R.E.A.M.:それってまったく考えてなかったですか?
B.D:ちょっとはあったっすよ。Illmatic Buddha、Illmatic、Nasとか、病んでる世界にずっと取り憑かれてて。ちょうどその時期にNASの1stを聴いたりもしてたんで。
T.R.E.A.M.:今回、アルバムを作り終えて自分的に一区切りついた感じはあります?
B.D.:ありますね。ケリつけたくて出した部分もあるんで。それは自分自身に対してもそうだし周りに対しても。ここで出しとかなきゃダメだなってすげぇあったっすね。あとは、やっぱ子供の影響も大きいすかね。子供の成長を見てると焦らされることも多いし、教えてもらうことも一杯あるんで。
T.R.E.A.M.:そうなんすね。
B.D.:いなくても頑張れる人は頑張れると思うんすけど、俺はきっかけがないとできない人間だったんだなって思うっすね。
T.R.E.A.M.:この間話した時、サンプリングベースじゃないトラックでもこれからどんどんやっていきたいって言ってましたよね。
B.D.:そうっすね。基本サンプリングとか90年代の音は好きなんすけど、それを通過した上で今っぽくないと嫌なんですよね。だから今回選んだトラックもそういう部分に忠実なところもあるんだけど、聴いていて今っぽいところ、K-BOMBのトラックも一周して今っぽく聞こえると思うし。やっぱ進化してないとダメだと思うんすよ常に。そこだけに固執しちゃうとそれを超えられないし、それだけになっちゃうと思うんすよね。変わらない良さはもちろん俺もわかるっすけど、HIP-HOPやってるからにはみんな新しいモノがみんな好きだろうし。そういう意味では自分のイメージもぶっ壊していきたいなっていうところはあるっすね今年は。もっと違うトラックだったりでとか。
T.R.E.A.M.:最近USで誰か気になってるラッパーっていますか?
B.D.:USだとやっぱA$APの周りのヤツとか格好いいと思いますね。それとDANNY BROWNとか。あいつらってむちゃくちゃお洒落じゃないすか。そういうのも好きっすね。今のメインストリームはメインストリームでわかるんすけど、ああいう奴らの方がラップしてるなって気がするんですよね。内容然り、ハメ方然り。それと、クルーで上がっていって身内のトラックメイカーをがっちり使うのもHIP-HOPだなって感じがするっすね。
T.R.E.A.M.:あの辺のトラックって、これまでに比べるとBPMもかなりスロウっすけど。
B.D.:ああいうオケでもハメてみたいなっていうのもあるっすけど、それをそのまんまやって面白いのかって言ってもそうじゃないと思うんで、俺なりの新しいことを出したいなって。KEN SPORTのトラックはそういう世界観もあったりするんで、テトラドでそういうところを追求していってもおもしろいなって思いますね。
T.R.E.A.M.:では日本人で注目しているラッパーは?
B.D.:やっぱ木村秀美先生じゃないですか。新しいシングルの話もあるし。あとVIKN、SPERBも1枚づつ出すみたいなんで、これからテトラドで四つ角押さえていきたいなって。
T.R.E.A.M.:最後に3日の意気込みを聞かせてもらってもいいですか?
B.D:あの日のリベンジ。バビロンも遊びに来いよ。
B.D feat. KGE THE SHADOWMEN, MIKRIS/NINJA TUNE
twitter:
TAR PIT
「THE SHINING」 -B.D. “ILLSON” Live Showcase- supported by BlackBerry
日時:2012年6月3日(日)
会場:SHIBUYA WWW
OPEN 17:00/LIVE START 19:00
【チケット前売り情報】 ※前売り特典あり(当日会場にてノベルティをプレゼント)
ローソンチケット http://l-tike.com/【Lコード:76815】 ※電話予約なし
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